看取り介護の仕事は生きるための援助

高齢化社会を迎えると同時に、日本は多死社会を迎えている現状があります。その中で、終末期介護、看取りケアに関わる介護職の仕事も増えています。最終的には利用者の死に立ち会うという点から、躊躇する介護スタッフが多いのも現状です。しかし、看取り介護の仕事では、逝く利用者からいろいろなものを渡されることになります。個体としての生命は、いつか尽きても、人としての存在は、人々の心につなげられ、永遠になっていくものであり、だからこそ、命が尊いというのを実感できる現場でもあるのです。そうした自分を含め、人々の心につないでいく、バトンを渡す瞬間に関わることができ、尊い命に対して、謙虚に真摯に寄り添うことができるのが看取り介護の仕事です。

介護職は、人生の最終ステージである終末期を生きる利用者に、安心と安楽な日々を提供するために何が必要かを考えることになります。また、その実現のために、日々の介護サービスを創造していく過程で、介護という仕事の魅力を再発見することも可能です。加えて、看取り介護のシーンで生まれるさまざまなエピソードを経験しながら、人としての成長も期待できる現場でもあります。実際に、利用者とその家族や関係者への命の引継ぎを肌で感じることができ、介護の仕事に就いたことへの喜びを実感するものも多いです。それと同時に、介護の仕事に誇りを感じ、仕事に対するモチベーションアップにもつながっています。

看取りケアというのは、決して特別なものでなく、日常介護の延長線上にあるものです。日頃の介護の質を高める努力と、終末期の暮らしを護るという理念のもと、死の援助ではなく、人生の最後のステージを生きるための援助が求められています。